ここ数年~10年のあいだのことであるが、天体写真界隈でもSNSの普及が著しく、個人の撮影した天体写真がフェイスブック、Twitter、ブログ(天リフ)などを通して、多くの人の目に触れるようになった。その規模は「天文ガイド」や「星ナビ」の読者を(おそらくすでに)凌駕しているのではなかろうか。
その結果として、天体写真への観覧者の「目」が非常に肥えてきて近年は急激なインフレ状態にあるように見える。昨日素晴らしいと賞賛された天体写真は、今日はすでに凡であり、今日の秀作も明日には見向きもされなくなってしまうといった勢いである。
「アンタレス付近」は、そんな「インフレ」の象徴のような対象だなあと思う。
むかし昔、顧問は部員の阿部とフェイスブックの「天彩Astrography」なるコミュニティに入会した。そこでは多くのマニアが、素人にとっては異様と見える写真をたくさんアップロードしていた。というのは、ふつう天体写真は晴天の下で撮影するものであるのだが、彼らの写真には巻層雲や層雲ばかり写り込んでいて、その向こうに星がポツポツ見えている。雲は茶やオレンジ、青などあり得ない色をしており、日の丸構図の銀河や球状星団の写真しか知らない我々にとっては、なんとも珍妙に見えたのである。まもなく、それら雲のように見えていたものは「分子雲」と呼ばれる星間物質であると知った。自分が彼らと同じ方向にカメラを向けたとしても、あんなものが写るとは到底信じることはできなかった。
あれから数年余。昨今の「インフレ」のおかげで,我々の技量も数年前の「天彩Astrography」の方々に幾分近づいて来たように思っている。現在の彼らは,さらに上の方へ行ってしまっているのだが,インフレもいつかは治るだろう。そうして満を持して,我々も赤・青・黄・の巻層雲のような星の写真をアップいたします(前置きおわり)
Date: 13th Apl. 2019, 0:00~
Location: Miyagi, minamisanriku
Camera: Canon EOS 6D
Optics: Mamiya apo sekor 250mm F4.5
Exposure: 240sec. x 38(ISO1600)
Guide: Kenko SkyMemo R
ちょっと構図しっぱいしたかなー。