天文はかせ序二段(仮)

天文はかせ序二段(仮)

仙台高専(旧・宮城高専)天文部の活動記録です

3月最後の撮影記

今回は、すこしダラダラ気味に撮影の顛末をつづってみたい気分です。どうでも良い方は目次の「撮影結果」をクリックして飛んでいただきたい。

はじめに

繁忙の時は「いそがしいいそがしい」と不平を言い、暇な時は沈黙をしている。それが学校の先生です。顧問はといいますと、小さな声で 

「部活は停止中だし、学会も軒並み中止になって。こんなに暇な春休みは初めてですよ。まことに人生、一寸先は闇。やりたいことはやり尽くさなければ」

なんて、木曜の夜に遠征計画を実行しました。行き先は定番の「はやま湖*1」です。

綿密な計画

撮影前には綿密な計画が重要であります。まず何を撮影するか決めます。それは次の二択でもあります:

  1. 過去に撮影した対象を選択して、自己技術の向上を確認する
  2. 初めての対象を選択して、楽しむ

で、顧問は職場のデスクで鼻をほじりながら塾考して、2.を選択しました。

つぎは何を撮影するか決めるわけですが、休憩中に鼻毛を抜きながら、スマホフェイスブックをのぞいていたら、MさんというかたがNGC4725の写真をあげていて

「お?、これカッケーじゃん」

と思ったので、これにしました。

そのあとは、Telescopiusというサイトにアクセスします(このサイトはそーなのかーさんに教えてもらいました)。ここではカメラのセンサーサイズと望遠鏡の焦点距離を入力すると、撮影対象と画角の関係を教えてくれます。

f:id:snct-astro:20200329111953j:plain

MT−200と294MCの組み合わせが良さそうです。最近はMGENの性格も分かってきたし、フルサイズ換算2500ミリのガイドもなんとかなるでしょう。

撮影の顛末記

忘れ物

26日、宮城県の空は春霞が広がっていました。南が条件良さそうです

とつぶやきアッピールましたところ、そーなのかー氏と南方の高専の天文部の先生(H先生)も、ご一緒することになりました。 H先生は「本格的な天体撮影の様子を見学したい」とのご希望で、それなら我々の華麗な撮影の様子をご覧いただきましょう。

 

* * *

 

そして、夜20時のはやま湖。橋梁の街灯が消え、あたりが闇に沈む頃

「わちゃーーーん!あひゃーーん!」

と40代のおっさんの悲哀に満ちた叫びです。

「どうしました?!」
「カメラを忘れました。」
「あほじゃん」

事前の計画も、家内へのご機嫌取りも、H先生への華麗な撮影の披露もすべてパーになってしまいました*2。しかし!どんな状況に陥ろうとも、最低限の結果は残す、それがプロというものです(なんの?)。サブの撮影のために持ってきていたEOS6Dを急遽の銀河撮影に回します。

タカハシのMT-200には、BaaderのMPCCコマコレクターが付いていて、純正のコマコレよりもイメージサークルは広くなっているのですが、それでもフルサイズはぎりぎりなんです。その辺はトリミングするしかないでしょう。

空の変化

目盛環導入でNGC4725を導入。6分露光でISO3200。数枚撮影したところで、北から薄雲が広がってきてしまいました。典型的なダメダメぱたーんです。もともと春の霞が濃くて、普段よりも星があまり見えない夜でした。

しかし1時間ほど待っていると、徐々に薄雲が東へ消えて星の数が増えました。若干ながら霞が取れたようです。撮影結果から、シーイングが向上したこともはっきりとわかりました。つぎのgifアニメは、22:43~と22:49~の2枚の6分露光結果を比較したものです。

f:id:snct-astro:20200329002836g:plain
シーイングによるガイド改善の差を加味しても、星が「キュッ」と締まって、光条がシャキンと伸びているのがはっきりわかります。これは期待できそうです。

しばらくして、H先生もそーなのかー氏も撤収され、最後は一人はやま湖。鏡筒を子午線反転させて約30枚、HDR用の60秒露光を10枚、合計で3時間分のデータを確保しました。

画像処理

お家に帰った週末。ストレッチ処理はpixinsightを中心にして、Photoshopは微調整にとどめる新しい画像処理パターンを試しました。全部記録しておきます(明示していない場合、パラメータはデフォルト値):

  1. HDR Composition: thresh = 43, smoothness = 7 星のHDR合成、64ビット出力

  2. DBE, subtraction 背景のフラット化。

  3.  Photometric color calibration: limit magnitude = 15として、カラーバランスを調整

  4. Decomvolusion: iteration=15, Deringing->enable, grobal dark = 0.0045, HDR前のdynamic PSFの星像を使用した、背景にマスク

  5. Auto Histgram: method: logarithmic, histgram clipping = 0.01, target mv = 0.1 HDRの結果、星のエッジがシャープになりすぎるようだったので、logarithmicを選んだ。背景を10%まで持ち上げる。

  6. TGV denoise :  strength = 2, with mask ストレッチ前にコントラストノイズの処理

  7. Asinhstretch: stretch fac=1.5, protect high lights: enabled 色を出したくて、これを先に
  8. Asinhstretch: stretch fac=1.5, protect high lights: enabled, once again  もう一回!
  9. Masked stretch: target = 0.12 これでおしまい。

この時点での画像は、以下のような感じです:

f:id:snct-astro:20200329151318j:plain

このあと、画像をtiff出力して、いろいろ調整しました。

撮影結果

NGC4725

NGC4725,NGC4712 and NGC4747

Date:2020-03-26
Location: Fukushima, iidate
Optics: Takahashi MT-200, MPCC coma corrector
Guide: Takahashi NJP, MGEN
Camera: Canon EOS 6D
Exposure: 360s x 29f + 60s x 10f (ISO3200)
Processing: Pixinsight, Photoshop CC

まあ、なんとか形には持ってこられました。

*1:

南東北周辺のおすすめの星空スポット(宮城・福島・山形) - 天文はかせ序二段(仮)

を参照

*2:しかし顧問が披露しなくても、H先生はそーなのかー氏の華麗な撮影をご覧になっていたので、有益だったようです