天文はかせ三段目

天文はかせ三段目(仮)

仙台高専(旧・宮城高専)天文部の活動記録です

栗駒山遠征

秋が深まってきました。

10月17日の夕方。北西から南東へ向かって前線の雲が後退し、晴れ間が広がる予報です。このパターンは鉄板である。そう信じて宮城県北端の遠征スポット「いわかがみ平」へ出かけました。今夜は新月です。

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いわかがみ平は栗駒山の登山口。標高1081mの高地に登山客用の広い駐車場があります。おそらく宮城県内では随一の暗いスポットです。部の合宿で二回訪れたことがあるだけで、本格的な撮影は初めてでした。かのーぷすさん、そーなのかーさんとご一緒しました。

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当日の様子です。紅葉シーズンにぶつかってしまって、駐車場はビッシリ。みなさん車中泊のあとに山登りされるみたいで、終始ヘッドライトが気になりました。まあ、それは仕方がありません。登山客の方々も、

「なんだこいつら・・・」

みたいな感じで、我々を見ていた(ような気がしました)。

さておき。今回のターゲットはM31、アンドロメダ銀河です。RASA11"に294MC-proをつけて3枚モザイクの計画です。

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ああ、あんどろめだ。撮影するのは2年ぶりです。前回の作はコチラ:

M31

ε200とEOS60Daでの2x2=4枚モザイクでした。雲抜けの山形県朝日自然観での撮影。総露光時間は100分と短いながら、空の条件は絶好でした。

今回、果たしてあの日の結果を超えられるのか? それでは参ります。

アンドロメダの撮影

「いやー、バッチリ晴れると思ったんだけどなぁ」っておぼろ雲。

「秋なのに、なんですかねこの天気は。このままでは人類は滅びますよ。」

ご一緒したそーなのかー氏もご立腹です。M31も南中をすぎて西に傾き始めてしまいました。

雲が切れたのは日付が変わった0時ころ。しかたなく予定を大幅に短縮したモザイク撮影の開始。1フレーム4分を6枚。まずは中心から撮影して、一枚の撮って出しはこんな感じでした:

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 雲の影響でガイドは暴れていました。でも結構解像してますよね。って感じで撮影を続けました。

画像処理と結果

家に帰ってAstroPixelProcessorでモザイク合成します。

画像

Local Nomalization Collection(LNC)という機能をoffにしたら、きれいにつながりました。そうして画像処理した結果がコチラ

M31

Date: 2020-10-18 0:10(JST)~
Camera: ASI294MC-pro
Optics: Celestron RASA 11", heuibII filter
Mount: iOptron CEM70G
Exposure: 240sec. x 6 flames(left and right part),  240sec. x 6 flames + 30sec. x 10flames(center part), gain 120, 3x1mosaic

ででん!

ってひさしぶりに「ででん」が出ましたよ。やったぜ。

鑑賞のポイント

手前味噌全開で、鑑賞のポイントを説明させてください。

M31_Annotated

座標を入れてみました。

ほぼピクセル等倍でやりますので、よろしくお願いします。

  1. 銀河中心部
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    アンドロメダ銀河の中心部は、一点に集光して強く輝いてます。飽和しないように240秒露光と30秒露光のデータをつかってHDR合成をしました。中心部を飽和させるか否か、がアンドロメダ銀河の撮影において最も意見が分かれるところなのではないでしょうか?デジタルから天体写真を始めた顧問は、この表現がお気に入りです。ちなみに星の周りが黒く落ち窪んでいるのは、PixinsightのDeconvolution処理の副作用です。これは改善可能なはずなので今後の課題。
  2. 赤ポチと暗黒帯

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    周辺の赤い光は水素が励起して発光しているのです。HeuibIIフィルタを使ってはっきり出てきたところを、photoshopのマスクで選択して強調しました。周辺のウネウネした暗黒帯はPIのDarkStructureEnhanceで強調してます。

  3. 霞むHII領域

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    写真上側のHII領域は若干霞んで見えます。M31自体の周辺に広がっている分子雲のせいかもしれません。だとすると、こちら側が地球から見て遠いわけなので、M110が下側にくるこの構図だと、銀河を斜め上から見ている形になって、自然であると思うんですよね。

  4. ひしゃげたM110

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    M31との重力の影響で引っ張られているような様子がわかります。

  5. 青い星

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    青い星は乙女座の4.5等星です。アンドロメダ銀河を探す時の最後の目印になる星で、双眼表だと同視野に入ります。青い星を青く写すことは、それほど簡単でなく、今回はうまく行きました。

  6. 写真でみて左腕方向にあるアンドロメダ銀河内の星団です。粒粒に星が分解して見えました。
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  7. nyancotanさんのブログ(M31 に新星?現る!光度 16.5等 & 時雨 - nyancotan's diary 天体写真 in Hokkaido)に新星出現の情報がありました。R.A0h42m37s.35、Decl= + 41o20'52 ですから下の赤丸の付近になります。20日以降の出現とのことで,この写真(18日撮影)には写っていません。出現時に16.5等で,赤丸に含まれている一番明るい恒星が13.25等ですから,銀河の光芒に埋もれて検出はそれほど簡単ではないかもしれません。

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ひとまずこんなところでしょうか。明け方には、雲海を覗くことができました。

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