天文はかせ幕下

仙台高専(旧・宮城高専)天文部の活動記録です

暴風のなか、短時間少数枚で

今月の撮影、蔵王はコマクサ平へ。そーなのかー氏と一緒です。

結果!

1.定番構図のM8,M20 and NGC6334

SHARPSTAR15028HNTとASI2600MC-proの組み合わせで、初のモザイク撮影、「干潟」「三裂」「猫の手」の定番構図を撮影しました。

M8, M20 and NGC6334

date:2022-6-30
location: Mt. Zao
Camera: ASI2600mc-pro
Optics: SHARPSTAR15028HNT 420mm F2.8
Exposure: 30s x 32(right), 30s x 98(left), 2x1 mosaic, gain 100
software: Pixinsight(preprocessing and stretch), AstroPixelProcessor(mosaic composition), photoshop(stretch)

後で詳述する理由により、1枚あたり30秒露光。2枚モザイクの片割れ「猫の手」側は45分、「干潟&三裂」側はわずか15分しか露光できてません。短時間少数枚撮影です(泣)。それでもモザイクによって粗が目立たなくなる効果と、F2.8鏡筒の明るさでなんとか形にすることができました。

画像処理のこだわりPointは「赤」です。この領域は全体的に赤っぽいはず、という考えの下

「若干赤カブリしてない?なくなくない?」

と感じる程度のカラーバランスに仕上げています。その分、アクセントになる青い星や星雲を頑張って強調しました。

尋常の撮影コンディションで、4時間ぐらい露光していたらどうなっていたでしょうねえ?あんまり変わらないかもしれません。

2.旧カミソリマクロで天の川中心部

スカイメモRでの放置ガイドでは、EOS6DにSigma 70mm F2.8 DG Macroを取り付けて、天の川中心部を。

The central region of the Milky way date:2022-6-30
location: Mt. Zao
Camera: CanonEOS6D
Optics: Sigma 70mm DG macro
Exposure: 180s x 5(F2.8)+180s x 33(F4), ISO1600
software: Pixinsight(preprocessing and stretch), photoshop(stretch)

こちらはトータル2時間の露光ができました。

画像処理のこだわりポイントは「赤」です(2回目)。通常、銀河の画像処理をしていると中心部はオレンジ色っぽく写ります。なので天の川の中心部もこのくらいの色だろうと思っています。実際、PixinsightのPhotometric Color Calibrationの出力からそれほど大きく変更はしていません。

実はカラーバランスにはお手本がありまして、参考にしたのは蒼月氏の以下の作でした

おそらく氏は、PCCの出力結果からカラーバランスを変えずに仕上げていると思います。あまり見たことが無いくらい赤い天の川なんですが、すごく力強い印象で、美しいと思います。

自分が処理すると、PCCの結果は蒼月氏の作品よりちょっと黄色っぽくなります。適用方法や設定に何らか違いがあるのかもしれません。

撮影後記

そーなのかー「RASAなら露光時間、60秒もあれば十分だと思うんですけど」
だいこもん「そうですかねえ・・、うーん。120秒にします」

なんてやり取り、そ氏とご一緒するたびに繰り返していたような気がします。7回くらいは。

前処理さえ正しく行えば、天体用CMOSカメラでは露光時間を必ずしも長く取る必要はない。というのが氏の主張です。私はそれを理解しつつも、バイアスノイズの影響が不安で、1枚当たり3~4分の露光をしていました。

そして、今回のコマクサ平での撮影、暴風でした。ノートパソコンがバタバタするくらいの。

私がスカイメモRで天の川を撮るセッティングをしていると、すでに撮影を開始したそ氏がやってきます。

そ「こっち(「干潟、三裂、猫の手」の撮影機材)の設定、やっときますね」
だ「あ、ありがとうございますー」
そ「この風ですから、露光は30秒ってところですかね」
だ「う。そ、そうですね」

ってそのまま撮影スタート。そ氏の勧めを受け入れたものの、30秒はさすがに不安でした。鏡筒はF2.8の明るさとはいえ・・

時間がたつにつれ、風は強まるばかり。30秒露光にもかかわらず、撮影の歩留まりは後半1割ちょっとまで落ち込みました。それで上記のようなバランスの悪い露光時間になってしまったのでした。

しかし帰宅後、短時間露光のデータをはじめて触ってみてようやく理解できました。露光時間、短くても大丈夫じゃん。と。

 

先日の星沼会のズーム会議で、宙ねこ氏に話していただいたのも、露光時間に関する内容でした。センサーの読み出しノイズの影響を抑えるためには、ある程度の長さの露光が必要なのは確かなのですが、それでも通常の空なら1分程度の露光で大丈夫という話でした。

次回の撮影から、F2.8なら1分程度の露光にしようと思います。だいぶん気持ちも楽になりますよね。

蛇足(後日追記)

天の川中心部のアノテーション

干潟星雲周辺の写真は、黄色枠の部分。べびつかい座といて座の間の方向に見えています。色の整合性はとれてそうです。