天文はかせ幕下

はやま湖でM33を撮影

はじめに

星沼会のNiwa氏には「トラブルの帝王」と言われたり、「いつもガイドグラフばかり見ている(M&M氏)」とか、「動画の途中でドタバタが入るのが味(shuji氏)」など、すっかりズッコケキャラが定着してしまった顧問。全く不本意でありますね!

 

10月最後の遠征地は「はやま湖」。我々の聖地なんですけど、ここでは最近、赤道儀が動かなかったりカメラ忘れたりとロクなことがありません。出かける前からプレッシャーを感じていました。

今回はどうだったか?

風が強くて、歩留まり45%と惨敗でした。でもそれは自分のせいじゃないね! 捨てたコマの一部を掲載しておきますのでご笑覧ください。

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結局はいつも、トラブル含みの撮影をしております。

 

生き残った21コマで画像処理を頑張った。結果はコチラ

M33, the Triangulum GalaxyDate: 2021-10-10
Location: Hayama lake, Fukushima
Camera: Asi2600Mc pro
Optics: Celestron RASA11"
Exposure: 240s x 21flames(gain0)
Processing: Pixinsight, Photoshop

 

撮影の日のタイムラプスをyoutubeにアップしてます

youtu.be

撮影後記

やってみての反省点は、M33くらい大きい銀河なら、もっと長い焦点距離でドーンと映したほうがカッコいいよね。ということ。

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トリミングして、こんな感じ? 星の周りのリンギングとか、さすがにアラが目立ってしまいます。来年はMT200と294mcで撮影しましょう。

 

画像処理でとくに意識したのは、次の2点

  1. 銀河全体の渦巻き具合の強調
  2. ザラザラ構造の強調

です。

1.銀河全体の渦巻き具合の強調

周辺の淡い部分を持ち上げようと腐心するあまり、例えばこんな仕上げをしてしまったことがありました。

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ダメな例

まるで楕円銀河のなかに渦巻きが淡く見えている感じで好みではありません。もっとこう、なんて言うんですかね「グワーッ」と渦巻いている感じのほうがカッコいいと思うんですよね。今回の作例でもそれほどうまくいかなかったんですけど、少しは渦巻き感を出せたかなと思います。

2.ザラザラ構造の強調

「ザラザラ」は、下の写真で四角く囲った部分によく見えています

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この構造はM33の大きな特徴だと思います。deconvolutionやLHE、ハイパスなどつかって、これがくっきり見えるように腐心しました。あまりやりすぎると、ノイズの区別がつかなくなってしまうのが難しいところ。

そもそもこのザラザラはなんなのか? 星沼会のミーティングでniwaさんたちと話題になりました。遠い銀河の恒星が見えているわけはないので、これらは銀河自体の球状星団散開星団であろうと。M33以外ではNGC2403でも同じ構造が見えます。どちらも見た目が非常に似ていて、銀河のタイプによって星団の分布が異なっているのでしょうか。

そういう銀河のもともとの素性を理解しておくことも、画像処理では大事ですね。

 

追記:

M33の粒々 - もりのせいかつ 別館 (hatenablog.com)

にてkさんが自身のM33画像と、ハッブル宇宙望遠鏡の画像を対応させて、検証してくれています。これをみると確かに、ザラザラ粒子の一つ一つが、散開星団であるだろうことがわかります。