天文はかせ幕下

最接近時の火星

月が明るいときは、惑星を撮影します。

6日に最接近した火星を撮りました。

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Date: 2020-10-6 22:48~
Camera: ASI174mm
Optics: Meade Lx-200-30 F10 Kasai 2x Barlow, Baader LRGB Filter
Exposure: gain200, L:6msec x 15000f, RGB 12msec. x 6000f, 
処理:Autostackkert!3 75%スタック、Registax6にてウェーブレット処理。ステライメージでLRGB合成。PSで仕上げ。

 一つのカメラでLRGB合成していくプロセスはまだ確立していなくて、現状では次のようにしています。

  1. L画像はスタック後、Registaxでウェーブレット処理。
  2. RGB画像はスタック後、ステライメージで重心を合わせてRGB合成してカラー化。
  3. 1.のLとカラー化した画像をLRGB合成。 

 という手順。LRGB合成をした後にウェーブレット処理をかけると、色ズレが非常に目立ってくるので、このような手順を踏みました。Winjuposによるderotationはautomatic Detectionがどうしても動かなくてあきらめました(メニューがグレーアウトしていて選択できない)。

 撮影時はL->R->G->Bという順番でやっていて、各チャンネルごとにピントを合わせるのがめんどくさい。RGBはピンボケでもいいのではないかとも思いましたが、それだと色ズレが起こりそうで、結局毎回ピントを追い込んでいます。6日の撮影は火星の模様でピントのピークがなんとなくわかりました。それすらわからないようなしーいんぐの日は、撮影をあきらめることになります。

 

同夜にはいろんな方が火星を撮ってました。たとえばはてなブログ仲間のRNAさんの結果

rna.hatenablog.com

を見ると、我々の火星ができの悪いビー玉に見えてきます。惑星撮影はどうも上達しません。何かやり方の悪いところがあるのかも。

RASA11を安全に赤道儀に乗せる手続き

我々の部にて、昨年度に購入したCelestronのRASA 11"。ハマれば素晴らしい性能ながら、性質はじゃじゃ馬。大きさ・重さ・シビアなピント、どれをとっても一級品です。顧問もまともな撮影が出来るまでに1年はかかりましたし、今でも失敗します。

国内で、この望遠鏡を使いこなしているアマチュアが何人いるのか? 知る由もありませんけど、両手で数えられる程度ではないでしょうか?  ところが天リフ経由で界隈のブログを拝見していたところ、今月に入って急に2名のユーザーが増えたことを知りました!

しかも同日のブログエントリです。一人目の御仁は、最近になって天文ブログを始められた方のようですけど、挙げられている写真を拝見するに、もともと相当の経験をお持ちであると拝察しました(そうでなければRASA11"を買おうなんて思いませんよね)。二人目の御仁は、言わずと知れた有名な方です。RASA11"もツインで運用されるのかなと期待してましたが、ひとまずシングルでぼちぼち(?)始められるようです。

お二人とも実物が届いた後に、筒の巨大さに戦慄されたようです。ふふふ、そうでしょうそうでしょう。私もkyoeiから届いたときはビビりましたよ。というわけで・・・

RASA11" 入門:赤道儀に載せてみよう!

この巨大な筒を、安全に赤道儀に載せる方法について考えてみたいと思います。

RASA11"にはロスマンディ規格のアリガタが、鏡筒に固定されています。これを赤道儀のアリミゾに嵌め込んで、クランプを閉めていくわけです。まずはお手本を・・・

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悪い例!

こんな風にやってはいけません!筒の直径は30cmを超えていますので、上の写真の状態にて、顧問には赤道儀のアリミゾが全く見えていません。手探りで「はまったかな?」感触を得て、クランプを閉める。手を離したら

「ドスーン!バリーン!!」

なんて、想像するだけで恐ろしい。周辺の遠征仲間の皆さんを、恐怖のどん底に叩き落とすことになってしまいます*1

ではどうするか?私の方法は以下の通りです。まずは

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このケースを使います。これはアイリスオーヤマのRV1000という型番のRVボックスです。ご覧のようにRASA11"がぴったり収まります。普段はこれを、車の後部座席に装填して、遠征に出かけておるわけです。

この箱を使って、

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このように蓋をしたボックスの上にRASA11を載せて、赤道儀の横へ持ってきます。補正版には蓋がしてあります。赤道儀は、鏡筒が天頂の反対を向く姿勢に固定しておいて、まだカウンターウエイトは付けません。蓋の上に滑り止めシートを置いておくと、尚良いでしょう。

この状態で・・・

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カチャンと。

クランプをしっかり閉めます。矢印は、赤緯方向のバランスが取れる大体の位置を表しています、アリミゾ固定時におよそバランス位置に来るように、三脚の高さを予め調整していました。

そうしたら赤経軸の固定を解除して、カウンターウエイトを装着します。

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こんな感じです(注:この状態でもまだ鏡筒側が重い)。装着はこれで終わりです。撤収するときはこの手順を逆に辿る形ですね。

問題は、赤緯方向のバランスを取るときなんです。現状では

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こんなふうに、腹で筒底を支えながらアリミゾのクランプを緩めて、アリガタをスライドさせています。これが危なっかしいんですよね。何かもっと安全で楽な方法がないものか、アイデア募集中です。

おまけ:新フード 

蛇足ですが、秋の遠征に備えて新しいフードを製作しました。

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遮光環つき。巻きダンを4重巻にしてから薄いレジャーシートを貼り付けています。スパイダー付きのプラ板を先端に取り付けて、ケーブルを這わせるようにして見ました。これで星像が改善するのじゃないかなーと期待してます。




 

 

 

*1:真面目な話、口径25cm越えの鏡筒を、アリガタ・アリミゾ方式で固定するという設計があまり好ましくないのでは?と考えます。遠征使用を想定した筒であれば、鏡筒バンドで固定する方がずっと安心です。タカハシのCCA-250もアリガタ・アリミゾ方式ですが、あれを落下させてしまったら・・・。

電視観望+リモート観望会の練習

序(準備状況)

ひと通り準備が整えてあった電視観望によるリモート観望会。連休の晴れ間を使ってようやくテストしました。使用機材は以下の通り

  • カメラ:ZWOASI294mc、SONY α7S
  • 光学系:Celestron RASA11", NB1フィルタ
  • 架台:iOptron CEM70G
  • 撮像ソフト:SharpCap
  • 導入ソフト:Cartes du Cial (Sky charts), All sky Plate Solver
  • 無線wifi:Huawai Nova lite 3(私物)
  • パソコン:Acer ノートパソコン windows8

α7Sとパソコンの接続はiodataHDMI-USB変換を使いました。これはHUQさんがやっていた方法です。

配信方法は、顧問私物のスマホをアクセスポイントとしてパソコンをインターネット接続して、TeamsでSharpCapの画面を共有する仕組みです。ですので撮影場所は、スマホの電波が良好に繋がる範囲である程度暗いところが望ましくなります。今回は

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このあたりで行いました。仙台空港近く、岩沼海浜緑地の入り口です。ゲートが閉じられて袋小路になっている場所を利用しました。

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環境はこんな様子。撮影方向は市街地で、写真に撮ると真っ白。海側の反対方向は星が比較的よく見えています。

配信側として気になるのはデータ通信量です。こちらは3時間くらいの接続で800MB程度でした。子供にスマホ貸して、youtube見せる方がずっと通信量使います。これは気にしなくて良さそうです。

では、当夜の記録です。

破(破滅的トラブルとそのリカバリ

20時配信開始をアナウンスしていて準備開始が19:30とギリギリになってしまって・・・、これはカメラアダプタを忘れたためでした。一度赤道儀を撤収して車で学校まで往復、1時間程度のロスでした。近征地で助かりました。

赤道儀の設置からアライメントまでは、CEM70G(三脚に赤道儀を固定するネジ回し以外は)はスムースな気がします。とくにiPolarが優秀で、カメラを接続しただけで即座に極方向を示してくれるのはありがたいです。

その後スマホとパソコンを繋いで、Teamsにアクセス。茨城高専の皆さんと会話しながら準備を進めました。その後に起こったトラブルは以下の通り:

  • SharpCapから、USBカメラとしてα7Sを接続すると、画面は認識するけれどsharpCapが固まってしまうトラブル。結局、現地での接続を諦めて294mcにチェンジ。
  • ところが294mcに替えても、sharpCapが固まってしまう。
  • パソコンをwindowsからmacBookに替えて、asi studioを使うことに。すると今度はwifiが繋がらない。
  • windowsに戻って、wifi繋いでasi studioをインストール。これでようやくリモート観望が可能に。
  • しかしcartes du cielが赤道儀を認識しない。しかたなく、精度は落ちるけどCEM70Gの自動導入を使う

結局茨城高専の皆さんには1時間ほど待たせてしまいました。まあ、トラブル発生は予告済みでしたので、皆さんまったり待ってくれました。それでも、けっこう良い画像が配信できました。受信側に回っていたglsnsciさんのキャプチャ画面です。

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まずは北アメリカ。鏡像のままです。5秒露光ですが立体感あると思います。asi studioのasiLiveはカラーバランスバッチリの画像を吐いてくれて、コントラスト調整つまみだけで強調の具合を調整できるので、非常に使いやすいです。

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もう一つは三日月星雲NGC6888。5秒露光でこれですからね。フラット補正してませんが、フォーサーズなら周辺減光は気になりません。

あとはM27、M15、M57などを見ましたが省略。

急(急場をしのいで・・)

茨城高専の皆さんとさよならして、片付けの前に上記のトラブル群が気になりました。もう一度ひとりでテストしてみますと、SharpCapもcartes du cielも正常に動きます。自動導入もプレートソルブ もバッチリです。Teams接続がいけなかったのだろうか?glsnsciさんをもう一度呼んで、Teamsを繋いだ状態でもう一度テスト。しかしすべて正常に動きます。

それで、淡い対象をもう少し観望。

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ハート星雲中心部です。

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さらに思い切り強調した網状星雲。どちらも5秒露光です。あんまり強調しすぎると、電視観望っぽく無くなってしまいます。

 

それにしてもトラブルの連続、何がいけなかったのだろう?この辺は、さらに経験を重ねる必要がありそうで、一般公開に踏み切るのはまだ時間がかかりそうです。

cartes du cielで星図を見せながら、自動導入して対象を見る、という流れは非常に教育的です。近く、本番の観望会を実現させたいです。

コントラストの低い部分だけ選択するマスク(PhotoShop)

序論

まずは、次の写真をご覧ください:

M16, M17 and the Sagittarius Star Cloud

これは今春、kissX5と60Daをつかったツインシステムで撮影した天の川の中心部のモザイクです。左半分を60Daに、右半分をkissX5に担当してもらいました。合成をAstro Pixel Processorで行ったおかげでうまく繋がってはいますが、ちょっと不満がありました。全体的にコントラストにムラがあるのです。とくに右半分のコントラストが低いように見えないでしょうか?

このような画像に対して上手なマスクを施し、ローカルなコントラスト調整ができないものか? そんなマスクを、ここではコントラストマスク」と呼ぶことにします。今回は、その作成方法と適用結果のお話です。

裏話

唐突で失礼ですが、「着想に至った経緯*1」を記しておく必要があります。

『「ためしてガッテン」じゃないんだから、さっさと結論教えろ。』

という方は読み飛ばしてください。

発想のきっかけは、近江商人さんのブログ

でした。北アメリカ星雲の画像処理工程において、「コントラストの低い部分を選択するマスク」について触れられています。しかし肝心なところは

これは、よっちゃんがやっていた方法ですね。詳しくはビデオを買ってみてください。

とあって、リンク先を辿ると、よっちゃんさんの教材ビデオがたくさんあります。どのビデオを買えばいいのかもわかりませんし、値段も(!)そこそこです。これを購入して答えを見ては、いろいろ負けた感じがします。

 

それでちょっと自分で考えた、というわけです。

 以下は、「低コントラストマスク、こんな感じでよいのでは?」と顧問が考えた方法です。読者の皆さんの中には上記の教材ビデオを見たか、オフ会に参加したかで、すでに答えを知っている方もいらっしゃるかもしれません。

「ふーん・・まあそんな方法もあるかもね。ちょっと違うけど」

という感じで暖かく見守っていただけると幸いです。

誓って述べますが、顧問はビデオ教材を見ていません*2

コントラストマスクの作成法

それでは参ります。作成方法は簡単です。

  • 調整したい画像を「ぐっと」眺めて、大雑把にどのくらいの長さスケールでコントラストのムラが生じているかを見極める。上の画像の場合1000pxくらいとしました(画像の解像度は5000x8000)
  • 元画像に1000pxでハイパス(フィルター>その他>ハイパス) をかける*3(下画像)

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  • 「ハイパス1000pxレイヤー」と「元画像」をコピーして、両者の「差の絶対値」とったあとモノクロ化(イメージ>色調補正>白黒)すると下の画像のようになります。

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  •  上の画像には、輝度の高い星雲の跡が残っているので、ガウスぼかしなどを使って消してしまうと、以下のようなマスクができます。f:id:snct-astro:20200914235241p:plain

  • 上が「コントラストマスク」になります。この場合,バンビの横顔部分やわし星雲の北のほうなどがマスクされることになります。あとはこのマスクを調整レイヤに置いた状態で、マスク自体にレベル補正をかけて強度を調整しつつ,コントラストを調整します。下は、適用している様子です。「明るさ・コントラスト」を使ってます。レベル補正で中間スライダを動かしても良いと思いますf:id:snct-astro:20200914235558p:plain
  • 以上です。

適用結果

(1)オメガ星雲・わし星雲付近

まず、上の画像に適用した結果を見てみましょう:

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バンビの横顔など、もともとコントラストの高い部分はそのままに保った上で、選択的な強調ができていると思います。

(2)干潟星雲付近

もう一つの適用例を見ておきます。ぐらすのすち氏天城高原でノーマルの5Dを使って撮影した干潟星雲付近を拝借しました。

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この作例の場合、とくに右上部分のコントラストが足りてないような、と顧問はゴルバチョフぐらすのすち氏と話し合っていました。上記の方法を使うと、次のようなマスクができました

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このマスクを適用して、コントラストを強調したBefore-Afterが以下になります:

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中央した部分の天の川ハイライトはそのままに、部分的なコントラストの調整ができていると思います。ドストエぐらすのすちさん、画像提供ありがとうございました。

仕組みの説明とシメ

ハイパスフィルタというのは、

「指定した半径 L [px]よりも長いスケールでの空間的変化は、輝度128のグレーにしてしまい、それより短いスケールはそのままに残す」

という処理です。したがって今回使用したマスクは

L [px]よりも長いスケールで輝度が変化している「眠い」部分を選択するマスク」

になっているわけです。

これ、結構使えると思うんですけど、どうでしょうね。

 

 

*1:科研費の作文ではない

*2:実は、「星雲の炙り出し法」は数年前に購入して試聴していますが、そこでは「コントラストマスク」については述べられていませんでした。

*3:実は1000pxはpsではハイパス 半径の最大値。これ以上長い値を指定しなければならない場合は、画像の解像度を下げるしかないでしょう。

肥えた目(?)で、再処理:バンビの首飾り

画像処理の技術はともかくとして、写真をみる目だけは年々肥えつづけているなあ、と感じます。数年前にとても満足していた完成画像も、今になって省みると歯牙にもかからない出来に見えてしまうのです。

この「肥えた目」が、天体写真撮影の趣味に数年間没入し、twitterfacebook, astrobinなどにアップされる他者の写真と自分の写真を、毎日血眼で比較

「嗚呼ダミだ。俺は何をしているのか?」

と悩み続けた結果として得られたのだとすれば、はたして自分の写真は普通の人にはどのように見えているのだろうか? これは、気になるところです

顧問の場合は簡単で、妻に写真を見せて感想を求めれば判明します。例えば、先日に蔵王にて撮影した「バンビの首飾り」 です。 

NGC6589

「自信作だ!」と悦に入っていたこの写真、数日経ったらもう気に入らない感じになり、頑張って再処理しました。その結果がコチラです:

NGC6589 (reprocessing)

うん!圧倒的に良くなったよね!と、妻に両者を見せて意見を求めたところ。

「何が違うの?」
「え、この真ん中の星雲の透明感とか、赤い星雲の出方とかちがうでしょう?」
「はあーなるほど、確かにこっちの方が綺麗かも」

といって妻が指さしたのは、再処理前の画像でした。ぐぬぬ・・

 細部を比較

見て分からぬと申すなら、ピクセル等倍で切り出して細部を比較して説明しますよ。まず中心部のバンビの首飾り。処理前はこう。

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再処理前

それが再処理後はこうなりました

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再処理後

赤い星雲に重なっている青いガスがより分離して見えているでしょう。これによって「透明感」が生まれるのですよ。

 

次に写真右下部分、暗黒帯と赤のコントラストも見てください。処理前はこうでした:

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再処理前

それが再処理後はこう:

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赤が豊かになりました。これによって青い星や暗黒帯のコントラストも明確になるのですよ。微光星がブチブチになっているのは仕方がないのですよ。

 

そして、写真は細部も見なければなりません。写真右上のスタークラウドの部分。再処理前はこうでした

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それが再処理後はこうです。

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処理前はカブリ補正が正しくなく、星の背景が黒潰れしてしまっていたのですよ。再処理後はこれを修正することで、星間に淡く広がっている分子雲も見えるようになったのです。

 

いかがでしたか?

これでみなさんも,再処理後の写真の方が出来がよく見えるようになったと思います。それではまた。

 

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くもじいじゃ。美しさを理屈で説明する姿が醜いの。

 

 

 

sharpCapでplateSolving Cartes du Cielで自動導入(覚書)

電子観望会にて、プレートソルブ で導入精度を高めつつプラネタリウムソフトから対象を指定して、スムースかつエレガントに自動導入ができるようにしたい。ということで、あれこれ調べた挙句:

  • キャプチャソフト:SharpCap
  • プレートソルバー:All sky plate solver
  • プラネタリウムソフト:Cartes du Cial (Sky charts)

三つの組み合わせで行うことにしました。用いたマウントはCEM70G、カメラはZWOの天体用CMOSカメラ(asi294mc-pro)です。このエントリは、その導入のための覚書です。

  1. ドライバのインストール:CEM70Gをパソコンから制御できるようにするため、
    Ascom platform
    iOptron ASCOM Driver and Commander for CEM120/70
    の二つのドライバーをパソコンにインストールしておく。

  2. SharpCapのインストールと設定:SharpCapはここからダウンロード。年間10ポンドを支払って、PRO版にしておく。
    -ソフトを起動して、"File>SharpCapSettings"と辿って、"Hardware"タブ内の"Mounts"から、上記の"iOptron ASCOM Driver and Commander for CEM120/70"を選択しておく。こうしておけば、SharpCapから赤道儀の制御が可能になる。

  3. プレートソルバーのインストール:All sky Plate Solverはここからインストール。その後の必要な設定はTak's Blog:All Sky Plate Solver & StellaNavigator 10を参照。
    -All Sky Solverがインストールできれは、ShapCapは自動的にプレートソルバーを認識してくれる。一応"File>SharpCapSettings"から"PlateSolving"タブを選択して"Plate Solver: detect automatically"が選択されていることを確認。デフォルトではプレートソルブ 後のアクションとして"Sync mount and re-centar target"が指定されている。つまりプレートソルブ を行った後、SharpCapは赤道儀を制御して自動的に対象を真ん中に入れてくれるようになっている。

  4. プラネタリウムソフトのインストール:Cartes du cielはここからダウンロード。インストールが済んでソフトを起動すると,はじめは観測値の設定画面など出てくるので適宜設定する。"Setup>general"と辿り"Telescope"から”ASCOM”を選択。次に"Telescope>Connect telescope”と辿り"Ascom telescope interface"を立ち上げて、”Driver selection”から"iOptron ASCOM Driver and Commander for CEM120/70"を選択すると、Cartes du cielから赤道儀が制御できるようになるる。そしたら"Ascom telescope interface"の下の方の"Connect"ボタンをクリックすると、赤道儀が認識される。

実際の観望会では、次のように操作をおこなうのが最もスピーディと思われる:

  1. 赤道儀のを設置して、極軸を合わせておく。

  2. 日付や緯度経度などの初期設定を済ませた後、赤道儀のコントローラのから、"search zero position"を選択した後、"one star align"を選択。赤道儀が目的星に向いた後、その星が実際に導入されていなくても"ok"と押してアライメントを終える。以後、赤道儀コントローラーは触らない*1

  3. Carte du ciel を起動して赤道儀と接続し、任意の対象を選択。"slew"を選択してその対象を導入する。初めのアライメントがイイカゲンなので、目的の対象は導入されていない(だろう)。

  4. sharpCapを起動して、カメラを接続しプレートソルブ を実行。解析がうまく終われば、赤道儀は自動的に動いて目的の対象が中心に入る。

  5. 以降は、Carte du cielから自動導入を行い、観望会を進めていく

という感じです。以上の導入にあたってはtwitter上でそーなのかー氏をはじめ、おののきもやす氏やHiropon氏から助言いただきました。またブログの情報としてほしぞloveログとTak's Blogが大変参考になりました。ありがとうございました(おしまい)。

 

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自動導入のテストが終わった後、名取市の自宅から撮影したM27です。よく写ります。

 

*1:one star alignを済ませてから,コントローラを浸かって目的の対象へslewして,そのあとSharpCapでPlateSolveを行って修正をかけても,導入がうまく行かなかった。おそらくコントローラーとソフトウェアの間で座標系の基準(JNOW/J2000とかの)の違いがあるのが原因ぽいが,設定法がわからない。

蔵王雲抜けの記録

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くもじいじゃ。

今週,8月25日,26日の夜,MeteoBlueでは蔵王の雲抜けが期待できる予報じゃったの。記録のために実際の天気図を貼っておくぞ(気象庁ホームページから引用じゃ)。

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まずは25日夜。SCWでは宮城県側に薄雲が張り出して山形が晴れる雲抜けの典型的な予報が出ておったが,実際には「単なる晴れ」だったようじゃの。顧問は庭先でプレートソルビングとかいう手法の練習をしていて,時間を無駄にしておったようじゃ。

 

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次は26日の夜じゃ。SCWは前日と似た傾向。名取市では月が透けて見えるくらいの薄い雲がモクモク広がっておったの。で,蔵王は安定した雲抜け状態だったようじゃ。

 

顧問は蔵王に出かけるほどの気力は無かったのか,プレートソルビングの練習も諦めて,飲酒して寝ておったわい。しょうもない奴じゃの。


さて上の天気図,東シナ海に台風に伴う低気圧があって,日本列島の北側にはオホーツク海の低気圧から伸びる前線が配置しているのが特徴的じゃ。顧問が書いておる「ブログ」とかいう駄文の記録では,およそ一年前2019年9月7日の夜も雲抜けじゃったの。

当日の天気図はこうじゃ:

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過去の天気図は各日の9時しか残されていないので,夜の気圧配置はこの2つの間くらいと考えてくれ。しかし低気圧や前線の位置に驚くほど類似点があるの。

 

「台風が東シナ海を北上して,前線がオホーツク海あたりにかかっているとき,蔵王雲抜けの可能性がある」

 

といってよいのかもしれんな。それじゃあの。

 

追記;

9月6日の未明も,雲抜けだったようです。天気図を記録しておきます。やっぱり台風の位置が似ています。(顧問)

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