「南天の知識が足らないなあ」
とは、チリリモートを始める前から感じていました。それで日本からは南に低い対象を天頂で撮影して「どやあ」ってやっていたわけですが、春先になってネタが切れました。
明日は撮影の順番が回ってくるのに、何撮るか決めてない。すこし焦りつつWikiskyでぐるぐると見渡してみて
「よく分からないけれど、とりあえずここにしてみるかあ」
と見切り発車的でひと月撮影しました。NGC2626の周辺です。
Date: 2023-2-15~27
Location: El Sauce, Chile
Optics: Vixen R200ss, CorrectorPH, Astrodon LRGBHaO3 E-series
Camera: ASI294MM-pro
Exposure:
L120x190=380
R120x68=136
G120x66=132
B120x68=136
Ha240x219=876
O3240x143=572
Total 37.2h
R200ss, ASI294MM
全体的に暗く怪しい雰囲気を出してみました。そのぶん星に色を乗せるともできて、満足しています。次回処理する機会があったら、暗黒帯の黒つぶれをもう少し救えるように頑張ってみよう。
場所は「ほ座」付近に大きく広がっている超新星残骸の周辺にある散光星雲の、そのまた一部です。下の写真の四角のあたり
LRGB合成で苦しむ
これまでもっぱらOSCカメラで撮影していたわたくし、チリのモノクロカメラの画像処理に苦しんでいます。特にLRGB合成が分からない。
可能ならばリニア画像の段階で合成したいと思っていろいろ試して失敗続き。以前も書きましたが、どうもLとRGBをある程度ストレッチしてから合成するのがよくやられる方法なのだそうです。しかしどの程度に? LとRGBのバランスが悪いと、彩度が上がったり下がったりで安定しません。
星沼会のDMで泣き言を垂れたところ、丹羽さんとそーなのかーさんに助けてもらいました。教えたもらったいくつかの方法のなかで、今回はそーなのかーさんの次の手順が上手く行きました。
- LとRGBの輝度をLinearFitでそろえる
- LとRGBに同程度のストレッチをかける(今回はPixelMathでの対数ストレッチをa=100で実行したあと、MaskedStrech)
- 再びLとRGBの輝度をLinearFitでそろえる
- LRGB合成
LinearFItをストレッチの前後に2回かけているのがポイント。LとRGBでは元からコントラストが違うので、同じ強さのストレッチをかけても結果が異なる。それをさらに二回目のLinerFitで戻してあげるというイメージです。LRGB合成で重要なことは、LとRGBのヒストグラムをそろえることだと。
この方法だと、彩度がちょうどよい具合になり、かつ星にエラーも出ませんでした。