天文はかせ幕下

1年数ヶ月前の馬頭星雲

3月。新型の伝染病が世界で猖獗を極め、学校は閉鎖し経済は恐慌をなしています。まるで9年前の震災の頃に似た不安な日々です。まことに世の中は予想がつかないもので、来年が、今年と同じようにやってくるのか、誰にもわかりません。

何かやり残したことはないかと今期の冬を振り返って、ああ、バラ星雲もオリオン大星雲もコーン星雲も撮影しそびれてしまっていました。一体何をしていたのか?

やり残しと言えば、遡ること1年と2ヶ月まえ。今は都会で遊学中のOB阿部が、ε-200で撮影していた馬頭星雲。(Mamaya Apo-sekor 500mmのファーストライト - 天文はかせ序二段(仮))あれの処理がまだだったことを、前触れなく思い出しました。あの画像は、光軸ズレとアルニタクの強烈なゴーストで御蔵入りしていたのでした。

f:id:snct-astro:20200314230226j:plain
これがコンボジット後の画像。光条が二重になっていて、馬頭の右側に三葉虫のようなゴーストとスパイダーの影。当時の技術ではどうにもできず、葬り去られていたのでした。阿部くんが撮影したこの結果をみて、顧問はアルニタク恐怖症に陥り、馬頭星雲を避け続けていました。

いろんなイベントが中止になっているせいもあって時間があり、Starnet++やDenoiseAIなどを利用しつつ、あれやこれやと処理して見ました。

The horsehead and burning tree nebulae

The horsehead and burning tree nebulae

Date: 5th. Jan. 2019
Location: miyagi
Camera: Canon EOS 60Da,
Optics: Takahashi, e200 F4
Exposure: 300sec. x 12(ISO1600)
Guide: Takahashi NJP, MGEN guide

ゴーストの処理には、Starnetで得た星消し画像とPhotoshopのパッチツールが活躍してくれました。すこしおかしくなっている部分もあるかもしれません。

画角内でのアルニタクの位置を少しずらせば、ゴーストを写野の外に追いやれるかもしれず、次回撮影するときはその辺を調整して見ましょう。光軸のズレも、ゴーストの形に影響していたかもしれませんし。