天文はかせ幕下

Sigma 14-24mm F2.8 DG DN Artのファーストライト

はじめに

このブログの顧問は、昨年の冬にSigma製のミラーレス一眼 "SigmaFp” を購入し(自費)、天体写真撮影に使ってきました。このカメラ悪くないと思うんですけど、誰もついてこないといいますか、ブログ・Twitterの天体界隈でSigmaFpを購入したという方の話をとんと聞きません。

布教活動をいたしましょう。

ミラーレスの特徴は、ショートフランジバック。そしてショートフランジバックの利点は高性能で明るい広角レンズを設計しやすいことです。そしてSigmaのミラーレスを使う利点は、同社の高性能なレンズを「純正レンズ」として使用できる点にあります。私は下記のレンズを狙っていました

「星景写真用レンズの決定版」ですってよ、奥様! 私は買ってしまいましたよ

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このレンズについては、ウェブ上でもいくつかのレビュー記事が上がっています。例えば

とか

など。しかし、どちらの記事も「星景写真用レンズの決定版」というフレーズを引用しているのにも関わらず、星景を撮ってないじゃん。というかライターの方、撮ったこともないのでは?と疑いたくなる様な記事の内容です*1

Sigma 14-24mm F2.8 DG DNレビュー

というわけでありまして、先日に蔵王にてこのレンズのファーストライトをしてきましたので、軽くまとめておきます。そんなに長くなりません。まずは、天頂付近に登った天の川のフラット補正なしの1枚撮って出しです。:

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ソフトフィルターは入れてません。星が小さくて、見えない!(嫌味)

中心と周辺像

中心と四隅の200px四方切り出しです。

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周辺はほんのわずかなオニギリ型です。あ、書き忘れてましたけど、これら結果はF2.8の開放です(嫌味)。開放から使えますねー。

光星偽色の傾向は、以前Sigmaの105mm Artを借りて6Dで撮影した時のもの*2と似ています。ピクセルサイズが5.98μmのSigmaFpではアンダーサンプリングになってしまうためかもしれません。

ピント合わせについて

広角レンズではバーティノフマスクも光条がみえなくて使いにくく、ピント合わせが難しくなります。SigmaFpはライブビューの倍率が8倍と低いので尚更です。今回の撮影では、木星をつかってピント合わせしてましたが、ピークが全くわかりませんでした。

ですが、その点はおそらく大丈夫です。といいますのも、レンズのピントリングを動かすと、SigmaFpの液晶画面には「無限遠マーク」と「お花マーク」書き込まれたフォーカスのスライダが表示されるようになっています。このミラーレス一眼特有の機能を参考にしながら、ピントリングを回して「無限遠」まで持って行くと、一旦ソフトウェア的にフォーカス調整が止まります。さらに速く回し続けると、オーバーインフに触れるようになっています。上の写真は、そのソフトウェア的に止まったところで撮っていますが、ピントは合っていると思います。これは撮影がかなり楽です。これは純正レンズのご利益でしょう。ただ、気温にも依存するかもしれないので、冬に試して見てどうかというところですね。

作品を一枚

Milky Way at the mountaintop shrine

Date: 6-14 2020 0:40
Location: Mt. Zao
Camera: Sigma Fp
Optics: Sigma 14-24mm F2,8 DG DN Art(F2.8)
Exposure: 90sec. ISO3200( 1 flame)

せっかく良いレンズを買ったので、星景写真も精進いたします。 

*1:ライターの方々は、短い納期で記事を上梓しなければならないとかの制約があって、晴天の夜を待つ余裕もないのかもしれません。

*2:EOS 6DSigma 105mm F1.4 DG HSMをF2.8に絞って撮影した結果;

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光星偽色の出方が似ています