天文はかせ幕下

EOS6Dのミラーケラレ

先日、「ぼちぼち星空眺めましょ」のタカsiさんから譲り受けたEOS6Dは、ミラーレス改造が施されています。つまりミラーボックスによるケラレを軽減するために、ボックス内にあるフリップミラーが物理的に取り除いてあります。

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左がミラーを取り除いたボックス、右は元々顧問が所有していたミラーが残っているボックスです。このようにミラーが無い分だけ光路が広くなります。また、側面には不織布が丁寧に張り付けられていて、同じように光を当てても、より黒くていい感じですね。

タカsiさんはこの改造を自分でされたそうです。

「ぜひ撮り比べしてみてくださいね」

と宿題を仰せつかっておりましたので、フラット画像を比較してみます。

Mamiya Apo Sekor 250mm F4.5の場合

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ミラーがある場合

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ミラーが無い場合

うーん、どうでしょう。ほとんど変わらない? いや、ミラーの影響が表れる画面の下側をよーく見てみましょう。

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等光線のフォルムに違いがありますね。ミラーがある場合は明るい領域が少し広く、ギリギリのところで急な減光が見えます。おそらくこれはミラーによる迷光と直接のケラレですね。一方でミラーなしの場合は等光線が素直な曲線になってます。

Zeiss Apo Sonner 135mm F2.0(@2.8)の場合

もうすこしF値の明るい光学系でもみてみます。

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ミラーがある場合

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ミラーが無い場合

こちらも画面の下側を比較すると、ミラーがある場合のほうが光量が落ちているのがわかりますね。

考察

Mamiya Apo-sekorとZeiss Apo-Sonner、F値の異なる二つのレンズでミラーボックスケラレの様子を比較してみました。どちらもミラーを取り除く改造の効果が見えましたが、その影響は限定的でした。

レンズに詳しいグラスノスチ氏(id:fornax)さんに聞いてみたところ、ミラーボックスケラレは後玉の大きいレンズほど顕著なようです。顧問が思うに、そもそもカメラレンズはミラーボックスにケラれることが無いように光路などが設計されているはずで、これは当然の結果だったかもしれません。

望遠鏡の場合は、必ずしもミラーボックスが考慮されているとか限りませんから、ミラーレス改造の効果がより顕著に出る可能性があります。例えば下は、ミラーがあるEOS6Dをタカハシε200に取り付けた場合のフラット画像です

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F値はMamiya Apo-sekorと同じながら,上下でケラれはより顕著です。下側のケラレが上側に比べて強く、これはミラーがあるせいだと思われます。残念ながらこの原稿を書いている時点では、ミラーレス改造の6Dをε200に取り付けたフラット画像がないのですが、上の上下非対称な結果を見れば、やるまでもないかもしれません。

総括!

カメラレンズならミラーボックスケラレはそんなに心配しなくていいよ。望遠鏡の場合は気にしたほうがいいかもね。