はじめに
11月8日の皆既月食では、サイトロンジャパンと天文リフレクションズ(天リフ)のコラボレーション企画として列島横断のライブ中継が実施されました。その様子は、以下のアーカイブで視聴できます.
天リフ編集長の山口さんの依頼を受け、われわれ星沼会は東北居住の私とそーなのかー氏、関東居住のNiwa、Aramis、ぐらすのすち,の2班に分かれ、それぞれ中継点の一翼を担いました。
今回はその一部始終についてまとめます
なぜ我々に声がかかったか
2021年にも皆既月食があり、その際に仙台高専の天文部として中継を担った実績もあるのですが、なんといっても本当の要因は、「さおりん」さんです。彼女は東北大学の天文部員。以前より遠征先でご一緒していたJDさんの紹介で、お知り合いになりました。
彼女にはひょんな出来事*1があり、最近Twitterアカウントのフォロワー数が2万強に爆増、顧問の知る限り天文分野における最大のインフルエンサーの一人になったのです。
アウトリーチは、ニッチ趣味である天文趣味において常に大きな課題の一つです。さおりんさんのフォロワーの中には必ずしも天文に興味がないひとも多くいらっしゃるはずで、是非天文普及活動に協力していただくべく、声がかかったのだと思います。つまり、わたしとそーなのかー氏は、あくまでさおりんさんのサポート役です。
本番中のトラブルなど
東北のわれわれのチームには、約20分のコーナーが割り振られました。皆既へ向けて少しづつ欠けていく月の様子を中継しながら、「マシュマロ投げ」と冠したトークを行うことになっていました。マシュマロ投げとは、優しい言葉の質問をするという意味なのだそうです。
今回は,以下のような台本を用意しておりました.
本番では,20分が経過する前に予定していたすべてのトークを使い切ってしまいました.
「ね,ネタ切れですー」
と泣き言を垂れても、期待していた編集長からの合いの手は入りません.最後の数分は無理やり会話を引き出して、終わった頃はぐったり疲れていました。素人のライブトークとしては、そんなものでしょう.
映像は,通信速度の関係でそれほど画質は良くなかったようです.それは仕方のないこととして,音声だけはきれいに届けようとコンデンサーマイクを用意していました。しかしオーディオインターフェースのgain調整がシビアすぎて,音声の大きさが安定していないようでした.そこも残念.
アマゾンレビューにgainがシビアであることは、かいてあったのですよね。ちゃんとチェックしていればもう少しマシな配信ができたのでした
成功点
一方で,天王星食の潜入と出現を両方ともバッチリとらえられたのは,大成功でした.この点は撮影機材を用意してくれたそーなのかー氏の手柄です。全国的にも晴れていて,大阪→東京→仙台と順を追って数分おきに起こる潜入&出現を全てライブでお届けできたのは,天リフのライブ中継のみだったのではないでしょうか?
月食が全国同時に起こるのに対して,天王星食は数分のタイムラグがあるというのも,教育的だったように思います.
結語:天文民の謎のモチベーションについて
今回の月食配信,ライブ中の視聴者は常時400人程度,アーカイブの視聴回数も19000人と多くの方に見ていただきました.アウトリーチとして成功だったと思います.
終わってみて不思議に思うのは,平日に仕事の休みを取ってまでライブ配信に協力した各氏のやる気です.それについては,同志ぐらすのすちも書いていました。
人間は常に損得勘定だけで動くのではないのだなあ、今回の月食イベントを通して強く感じました。こもんの場合は
「多くの方に荘厳な月食の映像をお届けしたい」
といった気持ちはほとんど無くて、どちらかというと
「我々の映像技術を内外に示したい」
というのが最大のモチベーションでした。それだけに通信帯域の関係で映像の鮮明さが欠けていたのは、ちょっと悔しかったですね。
次回に日本でしっかり見える皆既月食は3年後、2025年9月です。その時にまた、ライブ配信で皆様にお会いできたら良いですね。その日までごきげんよう。
*1:グーグルで検索してください^^