先日に遠征したはやま湖での新入部員TS君の奮闘は、前回記事にしたところ界隈のベテランの方にとてもウケて、書いて良かったです。
その横で顧問はM90銀河を撮影していました。使用したのはMT-200という反射望遠鏡で、実はこれも30年くらい前の発売です。純ニュートン式のこの鏡筒は中心がとてもシャープで収差もなく、時代を超えて優れた光学系だなと思います。こちらが結果。
Date: 2025-04-26
Location: hayama-lake, Fukushima
Optics: Takahashi MT-200 f=1200mm F6
Camera: ASI2600mm-pro(croped)
Exposure: L=180s x 50f, R=G=B=180s x 14f, total = 4.7h
Processing: PixInsight, Photoshop
M90は、周辺の腕がまるで刷毛で塗ったように構造に乏しく、暗黒帯も球状星団の粒々も見当たりません。青みがなくてグレーに近く、全体的にあまり映えない印象です。
でも、これに似た銀河は今までいくつか撮影した記憶があります。並べてみてみると面白いです。
キャプションに書いたように、左からM106、M94、NGC1269です。この中では、M106が、M90に一番似ています。M94とNGC1269も斜め上から見ると、かなり似た姿になるのじゃないかと想像します。いづれも少し歳をとった銀河で、人間で言うと中年から壮年の位置付けだそうです。不思議なことに、何となくわかる気がします。
話をM90にもどします。めいっぱいクローズアップしてみますと、はじめ構造に乏しいと思っていた腕にも実は特徴がありました。
我々からみて左側の腕は右側に比べてモクモクした明暗がありますね。
そして腕の向こう側(?)には不規則銀河IC3583があります。腕の乱れは、きっとこの銀河との相互作用によるものなのでしょう。そうすると、IC3583が奇妙な構造をしているのも、相互作用が原因かも?と想像を逞しくしますが、それはよくわかっていないそうです(参照:IC3583)。
さて、これにて今年の春シーズンはおしまいにします。
春は系外銀河が観測しやすい季節で、コアな天文ファンの間では「春の銀河まつり」と呼ばれています。今年は、チリのリモートからNGC3521、日本からM66、NGC4565、そして今回のM90を撮影できました。
なかなか豊作だったと思います。来月はさそり座のあたりを撮ってみます。