天文はかせ幕下

仙台高専天文部の顧問が、日々の天文活動や天文情報を綴っています。

義務感いっぱいで撮影した「アンタレス付近」

稜線を越えてくる強風で、夜空全体が山鳴りのような音を立てています。真っ黒の雲が沈みかけの月明かりを覆い隠して、あたりは不気味この上ない様子。夜中11時の蔵王連邦、賽の河原駐車場に到着すると、自分以外に誰の姿もありません。

「はー。やっぱ帰ろ」

と思いました。天頂には天の川と千切れ雲。

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自分にとって中望遠の主砲であるMamiya Apo-SekorとASI2600MM/MCツインの撮影システムは、去年と比較してカメラの固定方法を変更してガイドエラーの改善を期待してました。それで「アンタレス付近」をビシッと撮影したいという思いは、6月の曇天続きに阻まれて強烈な義務感となってわだかまっていました。

そんな状況で、上弦を過ぎた水曜日の夜、たった2時間程度の暗夜のために撮影地にやってきたわけです。ところが蠍座あたりの透明度はそれほど良好でなく、着いた瞬間に急速にやる気が萎んでしまったのでした。

一応は……って三脚を立ててみると、惰性でなんとなく気持ちが進みました。御嶽山噴火のあとに建てられた鉄筋コンクリート造の公衆トイレの風下ギリギリに機材をセットします。撮影開始した後は、強風に揺れる車内にこもりっぱなしでした。星空を全く見ることもなく、うとうと眠ったら、あっという間に薄明を迎えたのでした。

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ううーん、なんともエンジョイ感のない遠征になってしまいました。

でも、帰宅して処理してみたらなかなか良好な結果で、画像処理には気合が入ります。こちらがリザルトです。

Rho Ophiuchi

Location: Mt. Zao, Miyagi
Date: 2025-06-05
Camera: ASI2600MM/MC(twin)
Optics: Mamiya Aposekor 250mm F4.5
Exposure: 180sec. x 34f x 2
Processing: Pixinsight, Photoshop

今後の方針

今回の結果は、自分としてはベストは尽くせたものの、結果はこんなとこかあって思います。来年にここをもう一回撮るときは、どんな工夫をしようか。広域のモザイクも昨年やってしまったし。

やるとしたら、RASAとかSharpStarで狭い範囲をクローズアップするとか。来年までに面白い構図考えてみよう。