先日のソウル星雲をアップしたエントリーにて、nyancotanさんからコメントいただきました。
「C/2020 S3を撮影されたし。当方、高緯度地方在住により困難を極め、南方に住む爾ら若者に託す。次の満月までがラストチャンスぢゃ!うっ!うごふっ!!(意訳)」
北のグランド顧問
ちょっと思い出話を。この記事を書いているのは天文部顧問のわたし。当部には非公式ながらグランド顧問nyancotan氏がおります。
思い出せばこのブログをスタートしたばかりの頃、7年前のアイソン彗星の記事
に、初めてのコメントをいただいたのでした。それ以来、折に触れてアドバイスを頂いてきました。おかげで我々もここまで成長できたのです。
ひとり作戦会議
機材選び
残念ながら部員たちは定期試験期間中でした。いつもの「ひとり作戦会議」です。
まずエラスムス彗星は、極端に低空です。夜明け前に南東の地平に姿を現し、10°まで登ってくる前には薄明の中へ消えてしまいます。よって明るい光学系で撮影する必要があるでしょう。また、事前の情報よりその尾は3〜4°の広がりを見せているとのことから、画角としては10°くらいは欲しいところ。
すると、当天文部の機材による組み合わせとしては
- 135mm F2 + 4/3センサー
- 250mm F4.5 + フルサイズセンサー x ツイン
が候補になります。どちらが良いのでしょうか? 要はセンサーに入ってくる単位時間あたりの総光量が多い方が良いはず。それは顧問の計算によれば
に比例するはずです*1。これによるとフルサイズツインの組み合わせが2倍近くの光量を稼げることになります。しかし設置に時間がかかりそうなので、135mm+4/3センサーの組み合わせをスカイメモRに載せる機材構成を選びました(計算意味なし)
タイムスケジュールと撮影地
大雑把なスケジュールは
- 自宅出発3:00
- 現地到着4:00
- 機材設置完了4:30
- 導入完了、撮影開始4:45
- 撮影終了5:10
です。撮影場所は相馬市付近の海岸です。火力発電所から程よく遠い場所を選びました。
問題は短時間で導入できるかですが、金星が近いので、テキトーにその近くをウネウネ探せば見つかるかなと、楽観的に考えました。
結果
現場での導入はあっけなく上手くいって、4:49から3分露光で10枚を撮影できました。始めの6枚を彗星核基準で合成したのがこちら
北が上です。今回はじめて「大気差」の影響を実感できました。星の流れ方で写野の中で異なっているのがそれだと思います。
PSでマスク合成して、星も止まって見える画像をこさえました。
画像を反転して、PIのLarson Sekaninaフィルターで処理すると淡い尾がはっきりします
これみると、画角から飛び出しているようにも見えますねー。すると5°以上?もっとカメラを西に振ればよかった。
最後に撮影風景です。そこそこ透明度は高かったようでした。