天文はかせ幕下

2020-01-01から1年間の記事一覧

ネオワイズ彗星:明けと宵

毎年同じことを書いているようで恐縮であるが、2020年の夏も日本列島は厚い雲に覆われ続けていた。表題の彗星の到来は実に唐突な出来事であった。日本中の天文ファンが、空を呪っていたと思う。いつはてるとも知れない呪であった。 Day1: 明けの彗星を追って…

第2回:発掘フィルム写真のご紹介

本校の写真部の暗室で見つかった大量のカラースライドを、気が向いた時にご紹介するシリーズです。 1回目のハレーすい星に続いて、2回目は皆既月食の写真です。 若干、ピントがずれている感じがありますが、月の両サイドに赤い星と青い星が並んでいるのが印…

天体電視観望遠征! 天文部初の動画作品。

先日,宮城県の神割崎に出かけて来て,天の川近辺の電視観望をして来ました。その様子を動画にしてまとめましたので,アップいたします。 唐突にこのような動画を作成したのは,近頃のコロナウイルスの流行が要因です。 本天文部は,昨年度から中谷財団から…

ハレーすい星

私が天文部の顧問になったのは2010年頃でした。 その時期はあまり活発な部ではありませんでした。屋上のドームで仙台市の夜景を見るか、「SEGAサターン」に興じているというのが主な活動内容だったようです。しかし、残された数々の機材や資料からすると…

三段目昇進のお知らせ

昨日,番付編成会議が行われ,本ブログは序二段から三段目に昇進することが決まりましたのでお知らせいたします。今回の番付変更は,2017年10月に序の口から序二段への昇進以来,2年8ヶ月ぶりとなります。 三段目昇進に関して一般的な基準があるわけでありま…

天の川

先日の蔵王で撮影していた、射手座から白鳥座にかけての天の川です。景色を入れずに撮る時は、広角でもソフトフィルターをかけないほうが好みな感じに仕上がります。 The milkyway - from Sagittarius to Cygnus Date: 6-14 2020 0:40Location: Mt. ZaoCamer…

中心部と四隅を切り取るスクリプト

レンズや望遠鏡の性能を評価するときに、写野の中心部と4隅を切り取って並べたうえで、さらにピクセル等倍で点光源の形を見るなんてことをよくします。そんなことをするのは、星屋くらいであって、カメラを製作しているエンジニアの方からしたら、 「ヤメて…

Sigma 14-24mm F2.8 DG DN Artのファーストライト

はじめに このブログの顧問は、昨年の冬にSigma製のミラーレス一眼 "SigmaFp” を購入し(自費)、天体写真撮影に使ってきました。このカメラ悪くないと思うんですけど、誰もついてこないといいますか、ブログ・Twitterの天体界隈でSigmaFpを購入したという方…

梅雨入りじゃ

くもじいじゃ。 東北地方も梅雨入りじゃ。当分は夜空は期待できんぞ。このブログの顧問も、 「しばらくは本業に専念します。。。」 なんて言っちょった。本業でも大した仕事してないくせにのう。まああまりにCloudy Nightがつづいたら、ZOOM飲み会でもして、…

複数晩の画像のスタック

複数の晩に渡って撮影した画像をスタックする --- 場合によっては昨年・一昨年に撮影した画像をアーカイブから取り出してきて、昨夜の画像に重ねる、という手法もよく行われます。フォトコンでもそう言った作品をよく見かけるもので,それが成り立つのは,我…

蒼い馬星雲の失敗

5月29日。仙台の夜は月没23:50、薄明開始2:30。 狙いは、先日18分しか露光できなかった蒼い馬星雲です。撮影は短時間勝負になります。子供の風呂・寝かしつけ皿洗いなど、家庭における例のへこへこ運動をこなしたあと、「すんません、恐縮でございます…

いて座周辺のモザイク合成 -- APPとICE

目的 今回は、2つのモザイク合成ソフト;Astro Pixel Processor(APP)と、Imege Composite Edittor(ICE)を比較しつつ、前回撮影した画像をご紹介したいと思います。前者は天体写真用で有償、後者は一般用で無償ですから、比較すれば勝負にならないのはわか…

蔵王雲抜けの巻(8ヶ月ぶり2回目)

くもじいじゃ*1! 今日はワシが,東北地方における雲抜けについてお話しするぞ。言うまでもないかも知れんが,雲抜けとは山頂が雲の上に出ることじゃな。 時期はずばり梅雨じゃ! 東北の梅雨は,やませと呼ばれる特有の季節風が吹く。そんなときは,下の写真…

モノクロ・フラットとカラー・フラット(小ネタ)

撮影した画像の周辺減光を修正して、写野の明るさを均一にするのがフラット補正の目的です。 フラット補正は、対象になる元画像の明るさ(輝度)のみに変更を施し、色バランスは不変に保たれる。天体画像処理の各種ソフトウェアはそのように処理をしているの…

ソンブレロ・チャレンジ

春夜のやり残し。 表題のソンブレロ・チャレンジとは顧問の造語で、M104銀河の円盤にある波状の紋様を映し出す挑戦ですのことです。 宮城県では南に低い不利があります。南中高度はおよそ40度。果たしてどうか?? 結果 撮影の狙い・一部始終 処理について…

LCD画面フラットと光害フィルタ

光害カットフィルタを含んだ光学系を使っている場合、フラット画像をLCD(液晶ディスプレイ)光源から取得するには、ちょっと注意が必要だろうというのが、今回のお話です。 事の起こり 液晶画面のスペクトルと光害フィルタ 灰色のLCDから得られたフラット画…

子持ち銀河(1年ぶり5回目)

先日の神割崎での撮影。蒼い馬が南に登ってくるのを待つ間、手持ち無沙汰にM51を撮影していました。 Date:22th, April. 2020 21:31~23:59Camera: ASI294MC-proOptics: Celestron RASA 11"Mount: Takahashi NJPExposure: 300sec. x 26flames (gain 120) + 6…

RASA11" + Sigma Fp ファーストライト

はじめに もうだいぶん前のことなのですけれども、RASA11"にSigma Fpを装着する組み合わせでのファーストライトをして来ました。対象はこの時期、0時過ぎに昇ってくる蒼い馬星雲。夜中に神割崎まで出かけて撮影し、黙々と帰って来ました。出発から帰宅まで…

Zoom観望の閉会後、自宅からM8とM20

先日のZoom観望会を閉会して寝支度を整えた頃、いて座付近が南中していました。さきほどまで少し霞んでいた空の透明度も、若干回復した様子。眠いのを少し我慢して、出しっ放しの機材でM8付近を撮影て見ました。 Date: 25th. April. 26:20~26:40Location: N…

Zoom観望会

「あ、どうもですー。」「はじめまして。」 なんて言ってZoom会議に参加しましたら、隣の家の瓦屋根越しに干潟星雲が見えている。なんとも非現実的なコントラストである。 顧問は先日の深夜、ほしぞloveログのsamさんが主宰するZoom電視観望会に参加しました…

デジカメ画像のRAW現像結果、一挙比較

天体写真においては、画像処理のどこかのタイミングでRawをtiffなどに変換します。その時に使っているソフトウェアによって、色や解像度に違いが生じるのではないか? これまでの経験からそんな気がしておりましたので、試しに一挙比較を行ってみることにい…

再処理2作

巷では新種の肺病が猖獗を極め、震災の頃に味わったような9年前の非日常の生活が、またやってきています。人々は「家に居よう」という呼びかけあい、都会は空洞のようになっているとか。日本人特有の同調圧力が功を奏した結果にしても、あらゆる活動に対し…

最強?SigmaFp + RASA 11" 準備編

次回の撮影では、満を辞しての組み合わせを試して見たいと思っております。我々の部が現在保有する機材の中での最強コンビ:世界最小フルサイズのSigmaFpと11inch RASAです(ただしSigmaFpは顧問の私物)。 本日、試験的に装着して見ました。 カメラの右手側…

近地点の月と桜

四月の満月の1日後の夜明け前、西南西の沈む月と桜の風景を狙って、宮城県は船岡近くの名所に撮影に行ってきました。 白石川にかかる歩行者専用の橋の上には、私を含めて2名ほどの撮影者がいただけでした。日の出前に雲が切れて、計算通りの位置に満月。偶…

彗星写真が新聞記事に載ってしまった・・

先日に神割崎にて撮影していた、C/2019 Y4 アトラス彗星の写真。あのあと新聞の記者さんから連絡があって、朝日新聞のオンライン版に提供することになりしました。 記事が四月一日づけになっているのは、彗星の光度予測はあくまで水物であるという記者さんの…

3月最後の撮影記

はじめに 綿密な計画 撮影の顛末記 忘れ物 空の変化 画像処理 撮影結果 今回は、すこしダラダラ気味に撮影の顛末をつづってみたい気分です。どうでも良い方は目次の「撮影結果」をクリックして飛んでいただきたい。 はじめに 繁忙の時は「いそがしいいそがし…

セイファート銀河 M94

18日の神割崎での撮影。到着後にアトラス彗星を1時間ほど撮影した後は、月が出るまでのあいだ、ひたすらM94銀河に筒先を向け続けておりました。 5分露光で30枚ほどのライトフレームを得た後、イナバウアー状態の赤道儀を子午線反転させて、さらに20…

SigmaFpでマルカリアンチェーン

先日18日の神割崎での撮影結果の2作目は、マルカリアン鎖です。 この領域は春の星座の中では、長焦点を必要としない数少ない対象です。この銀河団の特徴は二つあると思っていて、それは 色彩に乏しい くらい銀河が多いものの、以外に中心輝度が高く飽和し…

ベテルギウス、60日間の記録

薄明後、オリオン座はすでに西の低い空に傾いていて、観測もそろそろ終盤です。今冬、ベテルギウスは記録的な減光で話題を集めました。2月中旬からしかし、はっきりと増光に転じて、そのあとにわかに襲来したアトラス彗星に注目が集まって、あまり話題にな…

彗星写真3態

全く期待していません、C/2019 Y4には。もし予想が外れて明るくなれば、5〜6月には学内外で市民観望会や撮影会など、忙しくなってしまいますからね。 3月中旬、C/2019 Y4は急激な増光をみせつつ、まだ等級は7〜8等台。暗いうちに撮影してきました。光学…